昨日、最高のクリスマスイブを過ごしたゆいと小百合は、ちょっとだけ昨日の余韻に浸っている。
そんな中、今朝はゆいが朝食の用意をしてくれた。
「さぁ、食べよっか。
いっただっきまぁ〜す」
今日の朝ご飯は、トースト、オムレツ、クラムチャウダー。
「小百合、目玉焼き作るって言ったのにオムレツになっちゃってごめんね」
「ううん・・・あっ!美味しい!これってもしかして粉チーズ入ってるの?」
「うん、分かった?いつもケチャップだし、たまにはどうかなって」
「ブラックペッパーと合うんだね。
新しい発見!もしかして思い付き?」
「うん。
前にさ〜、ピカタ作ったじゃん。
その残りを焼いたら美味しかったのよ」
「ふ〜ん。
ねぇ、いつかのお弁当に入れていいかな?」
「よろしくお願いします♪」
少し早めに食べると、すぐに支度を始める。
「小百合、ここはいいから先に支度して。
私も片づけたら行くから」
「うん。
ありがと!」
小百合はボサボサの髪を直しながら歯ブラシを銜える。
鏡の前には小百合がプレゼントしたゆいのピアスが置いたまま。
「あ〜っそっか」
その後、ゆいもバタバタしながら洗面所に来ては、歯ブラシを銜えて、目の前のピアスを付けた。
鏡の前で首を振ると、鏡越しに小百合と視線が合う。
「ん?なに?小百合」
「ううん。
なんでもない」
ピアスを付けてる姿にまでポ〜っとしてしまう自分が恥ずかしい。
「小百合、髪切るの早かったんじゃない?結えないじゃん」
「気にしてないよ。
それにたーちゃんがきれいにしてくれるから」
小百合はドライヤーで適当に直すと、トイレに行った。
ゆいは支度を済ませると、先に車へ荷物を積める。
「後は・・・大丈夫かな。
そろそろ着替えなきゃ」
部屋に戻り、ハンガーを外してスーツを着るが・・・。
「あれっ?うそっ!?試し着しとけばよかった」
自分では意識してなかったが、どうも痩せてしまってパンツが大きくてウエストが落ちてしまう。
「前回、いつ着たっけ・・・あ〜、先生のところに初出勤した日だったかぁ」
「ん?ゆい?どしたの?」
「うん・・・パンツが大きくなっちゃってさ。
気にもしてなかったから」
「痩せたの?」
「自分では分かんなかったけど。
とりあえずベルトするから」
シャツを着る前に、ゆいは鏡の前に座り化粧を始める。
小百合はたーちゃんにしてもらうのでスッピンのまま。
着替えながらゆいの化粧をしてるところを見ていた。
「小百合、化粧水と乳液はつけておいた方がいいよ。
これ使って」
「うん」
急いで化粧を済ましシャツと上着を着ると、『よしっ!』と言いながら上着の裾を引っ張る。
クラッチバッグに携帯、財布などを入れ支度を終わらせた。
「小百合、そろそろ行くよ」
「うん!ゆい、ゆいはスカートよりパンツスタイルの方がカッコ良くていい」
「そう?惚れ直した?」
「うん、益々惚れた〜??」
ゆいからのチューは帰ってからいっぱいもらうということで、直ぐに家を出た。
「ゆい、何か緊張してきた」
「んだね、私もドキドキして来たよ」
日曜日のせいか、道路は思った以上に空いていて気持ちを整える間もなくスタジオに着いてしまう。
「おはようございます」
「ゆいさん、小百合ちゃん。
おはよう!今日は楽しみにしてたのよ」
「せんせ〜!おはようございます!今日はよろしくお願いします!」
「小百合ちゃん、元気ねぇ〜!たーちゃんが待ってるから」
小百合は走ってメイク室へ行った。
「たーちゃん♪おはよ〜!」
「小百合ちゃ〜ん??おはよっ!待ってたわよぉ」
「今日はよろしくお願いします♪」
たーちゃんは、遠慮なく小百合に化粧が出来るとあって、嬉しくって仕方がない。
「先にメイクしてから、髪を整えるわね」
ゆいは佐藤さんのところに行って着物一式を渡す。
「佐藤さん、今日はお休みのところありがとうございます」
「気にしないで。
これがそうなのね」
早速たとう紙から出して着物ハンガーに掛ける。
「キレイね。
これが小百合ちゃんのお母さんが着てた振袖なのね。
丁寧に保管してたのね、全然黄ばんで無い。
今日は頑張っちゃおうかな!」
着付けをお願いした後、ゆいは表でまどかたちを待つ。
しばらくすると、タクシーから降りた圭吾がまどかを連れてスタジオに入ってきた。
「お義父さん、母さん」
「ゆい、来たわよ」
先生は圭吾たちの声に気付きフロアに出てきた。
「ゆいさんのお母さんですか?初めまして、私ここを経営しております波良真希と申します。
日頃、ゆいさんには頑張ってもらって有り難い限りです」
「ゆいの母でまどかと申します。
ゆいがすっかりお世話になって。
一度ご挨拶をと思っておりましたが遅くなり申し訳ありません」
二人がペコペコしながら挨拶をしている姿を見てゆいと圭吾は笑っていた。
「ゆいちゃん、小百合は?」
「今、メイクをしてもらってるところです。
その後着付けに入るので、ちょっと掛かります」
「そう。
先生、小百合がご迷惑かけていませんか?」
「何をおっしゃってるんですか〜。
ここへ撮影に来るタレントさんたちとも仲良くて。
雑用ばかりですけど、頑張ってくれてます。
安心してください」
この中で一番ソワソワしてるのはゆい。
気になって仕方がないので小百合の様子を見に行った。
その間も圭吾、まどか、先生の3人はゆいと小百合の話をしていた。